GUIDE / SAFETY
中高生・学校で指導するときに確認しておくこと
中高生を教える依頼は、条件よりも先に確認しておくことがあります。引き受ける前に見ておきたい項目を並べました。
SUMMARY
この記事の要点
- 中高生への指導は、条件の交渉より先に確認しておくことがある。
- 「部活動指導員」と「外部指導者」では、任せられる範囲が違う。
- 誰からの依頼か(学校・教育委員会・運営団体・受託事業者)で手続きが変わる。
- 保険は「誰の保険が効くのか」を、引き受ける前に確認しておく。
- 1対1にならない状況づくりと、連絡経路のルールは最初に決めておく。
一般の団体への指導と何が違うか
社会人の吹奏楽団へパート指導に行くのと、中学校の吹奏楽部へ行くのとでは、必要な準備が違います。演奏や指導の中身の話ではなく、周辺の条件が変わるためです。
| 観点 | 一般のアマチュア団体 | 学校・地域クラブ(中高生) |
|---|---|---|
| 相手 | 成人。自分の判断で参加している。 | 未成年。保護者の同意のもとで参加している。 |
| 予算 | 団費など、団体の自主財源が中心。 | 公的な予算や会費。基準が決まっていることが多い。 |
| 決定する人 | 団の代表・運営担当と直接話せる。 | 顧問、管理職、事務、運営団体など複数が関わる。 |
| 事故時の責任 | 団体の保険や当事者間の取り決め。 | 活動の位置づけによって適用される保険が変わる。 |
| 必要書類 | ほとんどない場合が多い。 | 経歴書、口座届、誓約書などを求められることがある。 |
「部活動指導員」と「外部指導者」は別のもの
同じ「外から来て教える人」でも、制度上の立場が違うと、できることと責任の範囲が変わります。
部活動指導員
学校教育法施行規則に位置づけられた職です。学校(自治体)に任用され、単独での技術指導や、大会・練習試合への引率を担える場合があります。任用の条件、勤務時間、報酬は自治体が定めます。
外部指導者・外部指導協力者
顧問の教員のもとで、技術指導に協力する立場です。単独での引率や、生徒だけの活動の監督は想定されていないのが基本です。呼び方は自治体によって異なります。
確認のしかた
依頼を受けるときは、「今回は部活動指導員としての任用でしょうか、それとも顧問の先生の指導のもとでの協力でしょうか」と、そのまま聞いて問題ありません。依頼する側も整理できていないことがあり、この質問がきっかけで確認が進むこともあります。
引き受ける前に確認する7項目
- 誰からの依頼か(学校、教育委員会、地域クラブの運営団体、受託事業者、保護者会のどれか)
- 自分の立場(部活動指導員としての任用か、顧問のもとでの協力か、地域クラブの指導者か)
- 謝金の額・支払い方法・支払い時期(自治体や団体の基準があるか)
- 必要な書類と、提出の期限
- 活動中の事故に、どの保険が適用されるのか
- 生徒の安全管理は誰が担うのか(自分ひとりで見るのか、教員や運営者が同席するのか)
- 緊急時の連絡経路(誰に、どの手段で連絡するか)
6番目は特に重要です。「顧問の先生は職員会議で不在なので、生徒だけでお願いします」という状況が当日になって発生することがあります。それが想定されているのかどうかを、事前に確認しておいてください。
求められることがある書類
依頼元によって異なりますが、次のような書類を求められることがあります。準備に時間がかかるものもあるため、依頼の段階で聞いておくとスムーズです。
- 履歴書・経歴書(指導歴を書く欄があることが多い)
- 本人確認書類の写し
- 報酬振込先の口座届
- 誓約書・服務に関する確認書
- 健康診断の結果(求められる場合があります)
- 指導計画・活動報告書(提出の頻度も確認します)
子どもに関わる仕事の確認制度について
子どもに関わる仕事における性犯罪歴の確認の仕組み(こども性暴力防止法、いわゆる日本版DBS)は、2026年12月に施行が予定されています。確認の義務を負うのは学校設置者等および国の認定を受けた民間の事業者で、事業者の区分によって義務か任意かが分かれます。
個人の指導者が自分で手続きをするというより、依頼元となる学校・事業者の側が仕組みを整えていくことになります。ご自身の依頼で何が必要になるかは、依頼元と、こども家庭庁など公的機関の最新情報でご確認ください。
この記事の立場
制度の詳細、対象範囲、開始時期は、今後変わる可能性があります。この記事は法的な助言ではなく、確認先を示すための一般的な整理です。実際の取り扱いは、依頼元および所管する公的機関の情報をご確認ください。
保険は「誰の保険が効くのか」
事故が起きたときにどの保険が使えるかは、その活動がどう位置づけられているかで変わります。少なくとも次の点を確認しておきます。
- その活動は学校の管理下の活動か、地域クラブの活動か、個人間の依頼か
- 生徒側にかかっている保険(学校・団体が加入しているもの)
- 指導者側の賠償責任保険(団体が用意するのか、自分で入るのか)
- 楽器の破損・紛失の扱い(自分の楽器を持ち込む場合を含む)
- 移動中の事故の扱い(送迎を頼まれた場合は特に確認が必要)
最後の「送迎」は要注意です。厚意で生徒を車に乗せた結果、事故時の責任が想定外の形になることがあります。送迎を依頼された場合は、その扱いを必ず依頼元に確認してください。
現場で気をつけたい実務
制度や書類の話とは別に、日々の指導で気をつけると、お互いに安心して続けられることがあります。
1対1にならない状況をつくる
個別指導が必要な場面でも、扉を開けておく、他の生徒が見える場所で行う、教員や運営者に居場所を伝えておく、といった配慮をします。指導者自身を守ることにもつながります。
連絡は団体経由にする
生徒個人とメッセージアプリやSNSで直接やり取りすることは、多くの学校・団体で避けるよう求められます。連絡は顧問の先生や運営担当を経由するのが基本です。
身体に触れる指導は事前に説明する
姿勢や呼吸の指導で触れる必要がある場合は、何のために触れるのかを先に説明し、本人の同意を得てから行います。可能なら、触れずに伝える方法を優先します。
写真・動画の扱い
練習の様子を撮影する場合、生徒が写るものをSNSなどに公開してよいかは、学校・保護者の同意が必要です。自分の実績紹介に使いたい場合も、必ず事前に許可を取ってください。
吹奏楽ならではの安全面
- 夏場の練習環境(空調のない教室・屋外での練習は熱中症の危険があります)
- 長時間の練習による、唇や喉への負担(特に金管・声楽)
- 打楽器やコントラバスなど大型楽器の運搬(けがの原因になりやすい場面です)
- 音量の大きい場所での耳の保護
- 楽器の貸し借りや、マウスピースの共用に関する衛生面
指導者から見て危ないと感じたことは、その場で顧問や運営者に伝えてください。外から来た人だからこそ気づけることがあります。
依頼する学校・団体側が用意しておくこと
指導者を迎える側にとっても、次を先に整理しておくと、依頼がスムーズになり、良い指導者に継続して来てもらいやすくなります。
- 立場(部活動指導員か、協力者か)と、任せる範囲を明示する
- 謝金・交通費の条件と、支払いの時期を先に伝える
- 必要書類を最初にまとめて伝える(後出しにしない)
- 当日の受け入れ担当者を決めておく
- 生徒の人数・学年・経験年数・使用楽器を事前に伝える
- 何をどこまで期待しているのかを言葉にする(音づくりか、曲の仕上げか)
校内で進める手順は外部指導者を部活動に入れるときの校内手続きに、謝礼の考え方は謝礼の考え方にまとめています。
よくある質問
「部活動指導員」と「外部指導者」はどう違うのですか。
部活動指導員は学校教育法施行規則に位置づけられた職で、任用されると単独での指導や大会への引率を担える場合があります。一方、外部指導者(外部指導協力者などの呼び方もあります)は、顧問の教員のもとで技術指導に協力する立場が基本です。呼び方や任用の条件は自治体によって異なるため、依頼を受けるときはどちらの立場なのかを必ず確認してください。
指導中に生徒がけがをしたら、責任はどうなりますか。
活動の位置づけ(学校の管理下か、地域クラブの活動か、個人の依頼か)や、加入している保険によって扱いが変わります。個々のケースで判断が異なるため、引き受ける前に「どの保険が適用されるのか」「事故時の連絡先はどこか」を依頼元に確認しておくことが大切です。
生徒と直接連絡先を交換してもよいですか。
団体や学校によっては、生徒と個人的に連絡を取ることを禁止している場合があります。連絡は原則として顧問の先生や運営団体を経由し、個人のSNS・メッセージアプリでのやり取りは避けるのが無難です。ルールは依頼元に確認してください。
指導者にも犯罪歴の確認が求められるようになりますか。
子どもに関わる仕事における性犯罪歴の確認の仕組み(こども性暴力防止法、いわゆる日本版DBS)は、2026年12月に施行が予定されています。確認の義務を負うのは学校設置者等や、国の認定を受けた事業者であり、対象や手続きは事業者の区分によって異なります。ご自身が関わる依頼で何が必要になるかは、依頼元および公的機関の最新情報でご確認ください。
出典・参考
この記事は一般的な情報提供であり、法的な助言ではありません。立場の呼び方、任用の条件、必要書類、保険の扱いは自治体・団体によって異なります。制度の内容や開始時期は変更される場合があるため、依頼元および所管する公的機関の最新情報をご確認ください。
最終更新: 2026/07/24/この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法律・税務・行政手続の助言ではありません。制度や条件は地域・団体・年度によって異なるため、実際の判断は各自治体・団体の最新の公表資料をご確認ください。
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