GUIDE / PARTS
打楽器・コントラバス・ホルンが足りないときの考え方
足りないパートは、団体ごとにばらばらではなく、かなりはっきりした傾向があります。原因が分かれば、打ち手も変わります。
SUMMARY
この記事の要点
- 足りないパートには、団体を問わずはっきりした傾向がある。
- 原因は「人気がない」ではなく、始める入口の少なさと楽器の事情。
- 打楽器と低音は、楽器と運搬の条件を書くだけで応募が変わる。
- 残り期間が短いときは、人を探すより選曲で解決するほうが早い。
- 不足パートを担当できる奏者にとっては、依頼が集まりやすい状況でもある。
なぜ同じパートばかり足りなくなるのか
打楽器、コントラバス、ホルン、オーボエ、ファゴット、バスクラリネット。アマチュアの吹奏楽団やオーケストラで足りなくなるパートは、団体が違ってもだいたい同じです。偶然ではなく、理由があります。
- 始める入口が少ない — 学校で希望して始める人が、そもそも他の楽器より少ない
- 個人で楽器を持ちにくい — 価格や大きさの問題で、団体や学校の楽器に依存する
- 運搬が難しい — 大型楽器は車がないと移動できない
- 経験者の絶対数が少ない — 母数が小さいので、地域に何人いるかで決まってしまう
- 1人しかいないと代わりがいない — 欠けたときに影響が大きい
つまり「募集の出し方が悪いから集まらない」のではなく、構造的に少ないパートがあるということです。ここを理解しておくと、打ち手が変わります。人を集める努力と、集まらない前提での準備を、両方進めることになります。
楽器別に見た事情と、頼むときのコツ
| パート | 足りない事情 | 頼むときに書くとよいこと |
|---|---|---|
| 打楽器 | 曲によって必要人数が大きく変わる。1曲で複数の楽器を持ち替える。 | 使用楽器の一覧、楽器が会場・練習場所にあるか、何人で分担するか、マレット持参の要否。 |
| コントラバス | 楽器が大きく高価。運搬に車が必要。奏者の絶対数が少ない。 | 団の楽器を貸せるか、会場に楽器があるか、車で搬入できるか、駐車場の有無。 |
| ホルン | 4本必要な曲が多い一方、奏者が集まりにくい。負担も大きい。 | 何番パートか、曲の音域と難易度、他に何人いるか(1人だけなのかどうか)。 |
| オーボエ | 経験者が少ない。リードの手配も個人負担になる。 | 曲名とソロの有無。1本か2本か。リード代の扱い。 |
| ファゴット | 楽器の価格が高く、個人所有が少ない。 | 団の楽器を貸せるか。曲の難易度。他の低音楽器との兼ね合い。 |
| バスクラリネット | 持ち替えで対応されることが多く、専任が育ちにくい。 | 団の楽器の有無。B♭クラリネットからの持ち替えでよいかどうか。 |
| ユーフォニアム・チューバ | 個人所有が少なく、団体の楽器に依存する。 | 団の楽器を貸せるか、運搬手段、駐車場の有無。 |
共通するポイント
低音・大型楽器では、演奏内容より先に「楽器と運搬」が引き受けの判断を決めます。「楽器はこちらで用意できます」「駐車場があります」の2行を書くだけで、応募のしやすさが変わります。
選曲と編成でできる対処
人を探すのと並行して、選曲側でできることもあります。特に本番まで時間がない場合は、こちらのほうが確実です。
選曲の前に人数を数える
曲を決めてから足りないと気づくと、選び直すか短期間で人を集めるかの二択になります。本番の9か月前くらいに、パートごとの「本番に乗れる人数」を数えておくと、無理のない選曲ができます。詳しくは演奏会準備の12か月逆算スケジュールをご覧ください。
編成の選択肢を持っておく
- 小編成版の楽譜が出版されている曲を候補に入れる
- その楽器のソロが少ない曲を選ぶ
- 持ち替えで対応できる範囲を、指揮者・指導者と確認しておく
- 打楽器の人数が少なくても成立する曲を1曲用意しておく
「埋めない」という判断もある
足りないパートを無理に埋めるより、その編成で映える曲を選んだほうが、演奏として良くなることがあります。人数の少なさを弱点として扱わない選曲は、団体の個性にもなります。
トラを頼むときに必ず伝えること
不足パートのトラは、通常の募集より情報が重要になります。特に次の3点は、書かれていないと判断できません。
- 楽器 — 団の楽器を使えるのか、自分の楽器を持ち込むのか
- 運搬 — 車で入れるか、駐車場があるか、搬入経路はどうか
- 担当範囲 — 何番パートか、他に何人いるか、ソロがあるか
打楽器の場合は、使用する楽器の一覧を書いてください。「打楽器1名」だけでは、ティンパニなのか小物なのか、鍵盤を叩くのかが分かりません。応募する側は、自分にできる内容かどうかを判断できないまま連絡することになります。
募集全体の書き方とテンプレートはトラ・代役奏者が集まる募集の書き方にまとめています。
奏者側から見ると、これはチャンス
ここまでは団体側の話でしたが、視点を変えると別の意味を持ちます。慢性的に不足しているパートを担当できる奏者は、それだけで依頼が集まりやすい立場にあります。
- 打楽器、コントラバス、ホルン、オーボエ、ファゴット、バスクラリネットは需要が続いている
- 対応できると明記しておくだけで、声がかかる回数が変わる
- 持ち替えができる場合は、その組み合わせを書いておく
- 自分の楽器を持ち込めるかどうかは、団体にとって重要な情報
- 車で移動できる場合、それも書いておくと大型楽器の依頼につながる
プロフィールの書き方は指導・演奏の依頼を受けるためのプロフィールの作り方にまとめています。
長期的に足りなくならないために
毎回トラを探すのは、団体にとっても負担です。時間はかかりますが、次のような手も並行して打てます。
- 団員募集で、不足パートを明記する(「全パート募集」だと伝わりません)
- 楽器を貸せることを書く(低音・大型楽器では決定的な条件になります)
- 経験のない人にも門戸を開き、団内で育てる(時間はかかるが確実)
- 近隣の団体と、トラを融通し合う関係をつくる
- 1人しかいないパートを、2人体制にすることを中期の目標にする
団員募集の書き方については団員募集で人が集まらないときに見直す7つのことをご覧ください。ブラスマッチでは、楽器・地域・条件から、募集と奏者がお互いを見つけやすくすることを目指しています。
よくある質問
打楽器のトラを頼むとき、何を伝えればよいですか。
使用する楽器の一覧(ティンパニ、鍵盤打楽器、小物を含む)、その楽器が会場と練習場所にあるかどうか、何人で分担するのか、マレットやスティックを持参する必要があるかを伝えてください。打楽器は「何を叩くか」で準備がまったく変わります。
コントラバスの奏者が見つかりません。どうすればよいですか。
楽器の運搬手段があるかどうかが、引き受けてもらえるかを大きく左右します。団の楽器を貸せるか、会場に楽器があるか、車での搬入が可能かを募集に明記してください。オーケストラや弦楽の団体、音大の弦楽器専攻にも当たってみる価値があります。
足りないパートがあるとき、曲を変えるべきでしょうか。
本番までの残り期間によります。3か月以上あるならトラを探す時間がありますが、1か月を切っている場合は、曲の差し替えや編成の調整を検討したほうが完成度は上がります。判断の期限を先に決めておくと迷いが減ります。
オーボエやファゴットがいない編成でも演奏できますか。
曲によります。他の木管に持ち替えて対応できるものもあれば、その音色が曲の核になっているものもあります。編曲上の判断が必要になるため、指揮者や指導者と相談して決めてください。無理に埋めるより、その編成で映える曲を選ぶほうが良い結果になることもあります。
最終更新: 2026/07/24/この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法律・税務・行政手続の助言ではありません。制度や条件は地域・団体・年度によって異なるため、実際の判断は各自治体・団体の最新の公表資料をご確認ください。
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